個人再生事件で査定書を依頼する流れとは?
個人再生事件の申立てをする際には、不動産を含むすべての財産に関する情報を裁判所に開示する必要があります。
迅速に経済状況を立て直すためにも、査定書の役割や依頼方法を整理することが大切です。
本記事では、個人再生事件で査定書を依頼する流れを紹介します。
個人再生事件とは
個人再生事件とは、借金などの返済が困難になってしまった人が、裁判所に再生計画を提出し、その認可を受けることで、返済額の減額を受けられる手続です。
自己破産のようにすべての負債がゼロになるのではなく、再生計画に則り、原則として3年間で減額された債務を分割返済する代わり、残りの債務の免除を受けられる仕組みです。
個人再生事件は、大きく分けて2種類あります。
| 小規模個人再生 | 給与所得者等再生 |
対象者 | 将来において継続的に収入を得る見込みがあり、無担保債務の総額が5,000万円以下の人 | 小規模個人再生の対象者のうち、給与所得者で、変動額の振れ幅が少ないと見込まれる人 |
返済額の基準 | 清算価値(債務者が財産を処分して返済に充てる額)を上回ること | 清算価値を上回ることに加えて、可処分所得額2年分以上であること |
債権者による決議 | あり | なし |
再申立ての制限 | なし | あり |
清算価値を計上するにあたり、不動産のような財産は査定価格が記載されている鑑定書や査定書を用意して、客観的な根拠を伴う金額を提示しなければなりません。
最も信頼性が高い書類は、不動産鑑定士が調査を行い査定価格を記載した鑑定書とされていますが、依頼費用で数十万円ほどかかることが一般的です。
返済に困って個人再生を検討する人にとって、不動産鑑定士への依頼費を捻出することは現実的ではないため、代わりに不動産業者の査定書を用意するケースが多くみられます。
不動産業者が作成する査定書とは
査定書とは、不動産業者が土地や建物の市場価値を評価し、査定価格を示した書類です。
個人再生事件の申立てをする際、裁判所に預貯金や財産の状況を説明する必要があり、所有する不動産もその一つに含まれるため、査定書が必要になることがあります。
たとえば、住宅ローン残高が査定価格を上回るオーバーローンの場合、不動産を売却してもローンを完済できない状態と判断されます。
一方、査定価格が住宅ローン残高を上回る場合、その差額分が財産と認められ、個人再生が認可されたあとの返済額に影響する可能性があります。
このように不動産の財産価値や負債状況を正確に示すためにも、不動産業者が作成する査定書が重要な役割を担います。
個人再生事件で査定書を依頼する流れ
個人再生事件のために必要な査定書は、自作できるものではありません。
スムーズに申立て手続きを進めるためにも、査定書を依頼する流れをご確認ください。
不動産業者に査定を依頼する
査定書を作成してもらう前に、まずは不動産査定を依頼します。
不動産の査定方法には、大きく2種類あります。
- 机上査定:不動産情報のみ
- 訪問査定:不動産業者が現地調査をして不動産の実態を調査
机上調査は数分〜数時間で査定額が確定するスピーディーさ、訪問査定は道路状況や悪臭、騒音など現地を見ないと確認できない要素を評価対象にする価格の適正さが強みです。
不動産業者や査定方法により、提示される査定金額が異なる可能性があるため、複数社に査定依頼を行い、おおよその相場感を把握するようにしてください。
査定書の作成を依頼する
査定結果を踏まえて、査定書の作成を依頼する不動産業者を選定します。
千葉地方裁判所の小規模個人再生手続開始申立書には「申請時の時価を明らかにする資料として、査定書2通を提出しその平均値を時価評価額としてください」と記載されています。
このように地方裁判所によって用意するべき査定書の枚数が異なる場合があるため、必ず確認したうえで、必要な枚数を依頼してください。
査定書の形式を確認する
査定書の依頼をしたら完了ではありません。
不動産業者が作成した査定書の形式や内容が、個人再生事件の申立てに使えるかどうかを確認する必要があります。
千葉地方裁判所では「計算過程が記載されているもの、他人の土地に建物が建てられているときは、土地と建物のそれぞれの金額が明らかにされているもの」と査定書に記載されているべき内容が指定されています。
極端に簡易的に作成された査定書は、その提示された金額に根拠がないため、裁判所が再生計画を認可するべきか否かを判断することができませんので注意が必要です。
まとめ
個人再生事件では、不動産を含むすべての財産を数値化して清算する必要があるため、土地や建物の資産価値を証明する書類を用意する必要があります。
各地方裁判所が提示する必要な査定書の枚数や形式、記載するべき事項を網羅できるよう、入念に確認を行い、個人再生事件の申立てを行うようにしてください。
個人再生事件を受けるにあたり必要となる不動産の査定書に関する疑問や不安がございましたら、早い段階で不動産の専門家に相談することをおすすめします。